僕はアリゲーターが多く生息するワニの王国の話を聞くと、冒険の旅に出ることにした。
現地でガイドを雇ってジャングルの奥地に入っていった。
「ここがアリゲーターが多く住むという伝説の沼地ね」とガイドが英語で言った。
「ワニはどこだ?」
「人が来たので警戒しているのよ。そのうちに出てくるヨ」
「待ち遠しいな」
その時ガイドが叫んだ。「ワニ! ワニ!」
「ワニはどこだよ。どこにも見えないじゃないか」
またガイドが叫んだ。「ワニ! ワニ!」
「どこにもいないじゃないか!」
その後で気付いた。
彼が言っているのはワニではなくワーニング(警告)だった。
気付いた時には、僕は底なし沼に首まではまっていた。
(遠野秋彦・作 ©2024 TOHNO, Akihiko)